暴れ川「鬼怒川」(2)-100年単位の変遷

鬼怒川の流路変更は、大きく分けて以下の5つがある。

①今の桜川の辺りを流れ、深い谷を作った時代=2.9万年~2万年前
②今の小貝川~利根川低地の辺りを流れ、深い谷を作った時代=2万年~6000年前
③今の鬼怒川の流れとなって、砂泥で谷を埋めた時代=6,000年前~300年前
④鬼怒川が利根川とつなげられた時代=300年前~130年前
⑤利根川水系の一部として管理される時代=130年前~

このうち、①から③までは、地球の大きな力により地形が変わることで川の流路が変わった動きで、時代の物差しで言えば1万年単位の出来事で、前回述べた。

今回は④と⑤の比較的新しい時代の流路変更について。

鬼怒川に限らないが、近世から近代にかけての河川は、治水や利水として人が川を利用するために流れをたびたび替えてきた。これにより、舟運が発達し、物流は大量に、安全に運べるようになった。
いわば、ひととの関わりで流路が変更された社会史的な動きで、数100年、場合によって数10年単位の出来事となる。

鬼怒川の流れ(結城市側から関城(筑西市)を臨む

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暴れ川「鬼怒川」(1)-1万年単位の変遷

災害に遭遇すると、ひとは理不尽な思いにかられる。
「なぜ私だけが?」と。
災害は、それを招いた気象条件、その土地や村落・都市などの環境条件、発生した時間帯などさまざまな条件が重なる。だから、災害の予測は難しい。
とくに、地球温暖化による激しい気象現象は、短時間で災害が発生する傾向にある。

防災、減災といわれる。
災害から身を護るには、最後は身一つ、自らの判断を信じるしかないと思う。
そのために、身の回りにどんな危険、リスクがあるかを知る必要がある。
そして、そのリスクを一人だけのものとしないで、地域で共有すれば、いざという時のリスク回避につながる。ただ言うはやすく、行うは難しではあるが。

2015年9月10日(木)に、鬼怒川の下流、常総市で左岸の堤防が決壊した。
1週間以上が経ったいまも、洪水域が残り、被災した方たちは避難所で過ごし、まだまだ災害のまっただ中におられる。
こうした中で、いささか慎みに欠けるかもしれないが、防災の観点から鬼怒川の川の歴史についてまとめてみた。

鬼怒川三坂決壊場所(googleクライスレスポンスより)http://goo.gl/1bA9co

鬼怒川三坂決壊場所(googleクライスレスポンスより)

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筑波山に「大蛇雲」が現れた

8月16日(日)、17日(月)、筑波山の山頂付近から南西側の山麓斜面にかけて横に長く尾を引くような巨大な雲が出現した。
この雲を青木豊は、『ストーム・チェイサー-夢と嵐を追い求めて』のコラム「わが故郷の筑波山とお天気」で「大蛇雲」と紹介している。

青木豊「大蛇雲」

『ストーム・チェイサー-夢と嵐を追い求めて』より、青木豊「雨引山から加波山にかけた大蛇雲」P110

まれですが、筑波山の西側では山頂付近に横長の雲が現れることがあります。これは、山が堤防の役目をしていることが原因で、山の東側でせき止められた霧があふれて頂を越え、山の西側に流れ込む過程で形成されます。俗に「大蛇(おろち)雲」と呼ばれる雲で、山の頂から中腹に懸かる横長の層雲(霧)が大蛇のように見えるため、そう呼ばれます。
『ストーム・チェイサー-夢と嵐を追い求めて』「わが故郷の筑波山とお天気」P108~109

9784901574105 続きを読む

「ゲリラ豪雨」を生んだのは誰?

梅雨明け十日というけれど
2015年の夏は、関東地方では7月19日(日)の梅雨明け以降、急な激しい雨に見舞われることが多い(今年もいうべきか?)。

たとえば、つくば市では、7月24日(金)の午後4時の1時間に41.5mmを観測。つくば市の気温は、正午32.1℃だったのが午後4時に24.1℃に下がった。同じ時刻、東隣の土浦市では29.5mmを観測。土浦市の気温は、正午31.8℃が午後4時に25℃に下がった。ただ、つくば市の西隣の下妻市は午後2時に2mm、午後3時に6mmだった。明らかに積乱雲によるごく限られたエリアの局地的な大雨だ。

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地球温暖化は他人事?

「本日の化石賞」という不名誉?
6月7日から、ドイツのエルマウでG7サミット(先進7か国首脳会議)が始まる。それに先立ち、6月4日にドイツのボンで開催中の「国連気候変動交渉会議」で、「本日の化石賞」が発表され、なんと日本が3つも独占したというニュースを知った。

「本日の化石賞」は、世界の環境NGOネットワークが地球温暖化対策を評価して「日々の交渉で最も後ろ向きな国の政府」に贈っているのだそうだ。このNGOは、気候変動問題に取り組む100カ国以上・900の環境NGOからなる国際ネットワーク組織で、英語名Climate Action Networkの頭文字を採ってCANと略称される。

安倍晋三首相は、G7を前に、6月2日に総理大臣官邸で第29回となる地球温暖化対策推進本部を開催し、「2030年度の温室効果ガスの排出量を26%削減する、国際的に遜色のない野心的な目標をまとめることができた」と胸を張った。

意気軒昂と乗り込むはずの安倍首相に対し、環境NGOがノーを突きつけ、出鼻をくじいたた形だ。安倍首相にしてみれば、NGOの評価なんて気にしないのかもしれない。
しかし、この2日の政府の温暖化対策、あるいはそれ以前の4月のエネルギー庁のエネルギーミックスについて、何か嘘っぽい、何かが違っていると感じていたので、5日の環境NGOの評価は、すとんと腑に落ちた。

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気象庁「異常気象レポート2014」が告げるもの

気象庁が平成27(2015)年3月20日に、「異常気象レポート2014」を発表した。
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新聞をはじめ、マスメディアは私の知る範囲ではあまり話題にしなかったように思う。
せいぜい「今紀末に日本の平均気温3.5℃上昇」というベタ組みの記事を目にしたくらい。

たぶん、私も『ストーム・チェイサー-夢と嵐を追い求めて』という新刊を編集していなかったら、
軽くスルーしていたかもしれない。

9784901574105

「異常」「気象」という語の連想から、ストーム・チェイサー、青木豊*の鬼気迫る写真がふと目に浮かび、何が異常なのだろう? と内容が気になり、読んでみることにした。
そして、じっくり読んでみて、これは大変なことが書いてあると知った。

青木豊=日本で初めてのストーム・チェイサー。雷、スーパーセルなどの局地的な激しい気象現象を写真や動画で表現し、発信している。茨城県筑西市在住。

以下、「大変なこと」と感じたいくつかをまとめた。

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