「みるく世」を歌い・継ぐ

沖縄全戦没追悼式に詠まれた詩

平成27年6月23日(火)、沖縄県糸満市で開催された「沖縄全戦没者追悼式」で、17歳の念捷(ちねん・まさる)さんが詩を朗読した。

私は、翌日の新聞でその全文を目にした。
タイトルは「みるく世がやゆら」。
詩は次のように始まる。

みるく世がやゆら平和を願った
古(いにしえ)の琉球人が詠んだ琉歌(りゅうか)が
私へ訴える
……(以下略)

新聞などは「みるく世」を「平和」と訳した。おそらく、沖縄県とゆかりのない者は、なぜ「みるく世」が「平和」なのか意味が採れないと思う。
しかし私はなるほどとうなづき、詩の全文を改めて熟読した。
インターネットで検索をかけ、詩は、沖縄平和記念資料館が主催する「児童生徒平和メッセージ」の平成27年の詩の部で、高等学校最優秀賞に選ばれた作品であることを知った。

平成27年「児童生徒平和メッセージ」のポスター

平成27年「児童生徒平和メッセージ」のポスター

続きを読む

ネムノキの花

チャリで、ペデストリアンを走っていた。

ペデストリアンは、歩行者と自転車のための専用道路で、筑波研究学園都市を特徴づけるひとつだ。
自動車と分離して安全に行き来できるよう、やや高いところに作られている。
だから、筑波研究学園都市の初期の頃の建物は、2階に入口があったりする。
そして、台地上の平地林を切り開いた都市の真ん中を背骨のように貫いているペデの両脇に、都市建設以前の雑木林がひっそりと残る。

ネムノキの花は梅雨を楽しませてくれる

ネムノキの花は梅雨を楽しませてくれる

梅雨の中休みで快晴。爽やかにペダルをこいでいると、ぼぉっと薄く掃いたようなピンクが目にとまった。

明るい日差しと対照的に、こじんまりとした闇に、あえかに灯るような印象。
ネムノキに花が数輪咲き始めていた。

チャリを歩道の脇に止めて、近づいた。

長いまつげのような花をつんと上に向け、感じることができないほどの風に揺れている。
花はまだ一輪、二輪で、よく見ると枝先につぼみが結構な数ある。

ネムノキは、まめ科。同じまめ科のフジなどと同じく、細長い楕円の小さな葉が歯ブラシのように規則的に並んでいる。
植物学的に言えば「羽状複葉」の「互生」。

IMG_1367

ネムノキのネムは「眠る」からという。江戸の俳諧では「ねぶ」とも。
夕方に葉が少し閉じ、眠ったようになるからという説もある。

漢字で書けば「合歓」。
梅雨に入ると間もなく、雑木林の縁に枝を広げ、花を咲かす。
同じ頃に咲くクリが、甘く強い香りを漂わせるのに比べ、ネムノキは小さな扇子のようなピンクの花が印象に残る。
クリの香り対してネムノキの彩り。
なんとなく、か弱いイメージの花は「ねむ」という響きにふさわしい。
ただ、花をよく見ると、つんつんした感じで、優しさから遠くなる。
ぼぉと少し離れたところで、木全体を眺めた方が風情がでる。
花どうしがささやき合っているかのようだ。
だから、合歓なのだと、意識したときに浮かんだのが次の句だった。

合歓の花大樹とあれば響き合ふ

ざぁーと通り雨があった。すぐに止む気配で、急ぎ足で通り過ぎるひともちらほら。
そんなペデのかたわらに一本のネムノキ、それは傘を広げているようだった。

一本の傘開くごと合歓の花

梅雨を楽しませてくれる木だ。

俳句・文=野末たく二

桜川畔のネムノキの花

桜川畔のネムノキの花

地球温暖化は他人事?

「本日の化石賞」という不名誉?
6月7日から、ドイツのエルマウでG7サミット(先進7か国首脳会議)が始まる。それに先立ち、6月4日にドイツのボンで開催中の「国連気候変動交渉会議」で、「本日の化石賞」が発表され、なんと日本が3つも独占したというニュースを知った。

「本日の化石賞」は、世界の環境NGOネットワークが地球温暖化対策を評価して「日々の交渉で最も後ろ向きな国の政府」に贈っているのだそうだ。このNGOは、気候変動問題に取り組む100カ国以上・900の環境NGOからなる国際ネットワーク組織で、英語名Climate Action Networkの頭文字を採ってCANと略称される。

安倍晋三首相は、G7を前に、6月2日に総理大臣官邸で第29回となる地球温暖化対策推進本部を開催し、「2030年度の温室効果ガスの排出量を26%削減する、国際的に遜色のない野心的な目標をまとめることができた」と胸を張った。

意気軒昂と乗り込むはずの安倍首相に対し、環境NGOがノーを突きつけ、出鼻をくじいたた形だ。安倍首相にしてみれば、NGOの評価なんて気にしないのかもしれない。
しかし、この2日の政府の温暖化対策、あるいはそれ以前の4月のエネルギー庁のエネルギーミックスについて、何か嘘っぽい、何かが違っていると感じていたので、5日の環境NGOの評価は、すとんと腑に落ちた。

続きを読む

気象庁「異常気象レポート2014」が告げるもの

気象庁が平成27(2015)年3月20日に、「異常気象レポート2014」を発表した。
kisyoutyo_hyoushi

新聞をはじめ、マスメディアは私の知る範囲ではあまり話題にしなかったように思う。
せいぜい「今紀末に日本の平均気温3.5℃上昇」というベタ組みの記事を目にしたくらい。

たぶん、私も『ストーム・チェイサー-夢と嵐を追い求めて』という新刊を編集していなかったら、
軽くスルーしていたかもしれない。

9784901574105

「異常」「気象」という語の連想から、ストーム・チェイサー、青木豊*の鬼気迫る写真がふと目に浮かび、何が異常なのだろう? と内容が気になり、読んでみることにした。
そして、じっくり読んでみて、これは大変なことが書いてあると知った。

青木豊=日本で初めてのストーム・チェイサー。雷、スーパーセルなどの局地的な激しい気象現象を写真や動画で表現し、発信している。茨城県筑西市在住。

以下、「大変なこと」と感じたいくつかをまとめた。

続きを読む